【特車】フルトレーラー連結車(ダブル連結トレーラー)の緩和要件を解説
近年、物流業界における深刻なドライバー不足への対策や運送効率の向上を目的として、1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」の普及が進められています。
従来、フルトレーラー連結車の長さは21mが上限でしたが、一定の条件を満たすことで最大25mまで規制が緩和されました。
本記事では、この長さ21mを超えるフルトレーラー連結車(ダブル連結トラック)を運行させるために必要な「緩和要件」について、車両、経路、運転者、運行ルールの各視点から詳しく解説します。
規制緩和の概要
現在、特殊車両通行許可制度において、トラクタ及びトレーラーがバン型のフルトレーラー連結車については、長さ25mまでの通行が許可されるようになっています。
この緩和を受けるためには、車両の安全性能や運転者の資質、通行経路などにおいて国が定める厳しい基準をすべてクリアしなければなりません。
車両の条件
規制緩和の対象となる車両は、以下の形状に限られます。
- 車両形状: フルトレーラー連結車のバン型であること。
- 車両の長さ: 21mを超え、25mまでであること。 ※バン型以外の車両(平ボデーやタンク型など)は、現行の制限値が適用されます。
車両装置等の条件(16項目の安全装備)
21mを超える車両を安全に走行させるため、以下の16項目の装置を装備していることが必須条件となります。
- アンチロックブレーキシステム (ABS)
- 衝突被害軽減ブレーキ 又は 自動車間距離制御装置
- 車両安定性制御システム
- 車線逸脱警報装置
- カメラシステム及びモニター: 被けん引車の後端に設置し、運転席で後部視界を確認できるもの
- デジタルタコグラフ
- 車載型自動軸重計測装置(OBW): 又は出発時に計測した軸重を記録した書類(当面は発着地での重量計計測も可)
- エアサスペンション: 全車軸(電子制御ブレーキ装着車は操舵軸以外)への装備
- ディスクブレーキ 又は ドラムブレーキ
- リターダ(補助ブレーキ)
- デフロック 又は トラクションコントロールシステム(空転防止装置)
- 間接視界を確保するための装置(バックミラー等)
- 被けん引車のバックライト
- 車体輪郭のマーキング: 反射材を用いたもの
- 表示プレート: 車両の長さ及び「追越注意」の文言を表示したもの(反射材を用い、一文字15cm×15cm以上)
- 業務支援用ETC2.0車載器
通行経路の条件
ダブル連結トラックが通行できる経路は、道路構造上の支障がない区間に限定されていますので、全ての道路が通行できるわけではありません。
通行できる道路は、以下の国土交通省の資料にて公表されています。

通行、または申請に際して、以下の点に注意する必要があります。
- 特定の区間の通行: 国土交通省が指定した「特定の区間」(高速道路等の主要幹線道路)を主たる区間として設定する必要があります。
- 一般道の最小限化: 高規格幹線道路等の自動車専用道路以外の区間を通行する場合は、その距離を必要最小限に留めなければなりません。
- 事前相談の推奨: 通行経路の設定は複雑なため、申請前に各地方整備局の特車担当部署へ事前相談を行うことが推奨されています(「ダブル連結トラックの申請について」と伝えればスムーズです)。
積荷の条件
輸送の安全を確保するため、以下の積荷の輸送は禁止されています。
- 危険物貨物: 道路施行令等で掲げられている貨物
- 大量の液体
- 動物
運転者の条件
21mを超える車両を運転するドライバーには、高度な技術と経験が求められます。以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
| 項目 | 条件1 | 条件2(優良運転者) |
|---|---|---|
| 業務経験 | 大型自動車運転業務に直近5年以上従事 | 大型自動車運転業務に直近3年以上従事 |
| 免許 | けん引免許保有5年以上 | けん引免許保有1年以上 |
| 安全教育訓練 | 最低2時間の訓練受講 | 最低12時間の訓練受講 |
| その他要件 | - | 直近3年間無事故・無違反 |
訓練内容には、連結方法や車両感覚の習得、スラローム走行、右左折時や後退時の挙動把握などが含まれます。
通行の条件(運用ルールの遵守)
実際に道路を通行する際には、以下の6項目を遵守しなければなりません。
- 追い越しの禁止: 原則として一番左側の車両通行帯(登坂車線がある場合は登坂車線)を通行し、追い越しを行わないこと。
- 縦列走行の禁止: 他の21m超車両と接近して連続して走らないこと。
- 故障時等の停止表示: 路上に停車する場合は、板状と灯火式の両方の停止表示機材を使用すること。
- ETC2.0の稼働: 通行中は常に業務支援用ETC2.0を稼働させ、通信可能な状態を維持すること。
- 書類の携行: 実技訓練の受講証明書、無事故無違反証明書(一部免除あり)、軸重記録書類などを必ず携帯すること。
- 安全な車間距離の確保: 特に橋梁等においては、前方の車両と十分な距離を保ち、同一径間内(約60m)を他車と同時に通行しないよう注意すること。
まとめ
ダブル連結トラック(長さ25mフルトレーラー)の規制緩和を受けるには、「バン型車両であること」「16項目の安全装備」「指定された経路」「熟練した運転者」「厳格な通行ルール」のすべてを満たす必要があります。
これらの要件は、物流の効率化と交通安全を両立させるための非常に重要なルールです。
