クレーン車(ラフター・トラッククレーン)の特車申請|申請の流れ
建設現場や土木工事の現場で使用されるクレーン車には、ラフテレーンクレーン(ラフター)やトラッククレーンなど、さまざまな種類があります。
こうしたクレーン車で公道を走行する場合、「特殊車両通行許可(特車許可)は必要なのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、ラフターなどの自走式クレーンは、一般的制限値を超えるものが多く、実務上はほぼ特車申請が必要となります。
ただし、クレーン車だから必ず特車許可が必要というわけではありません。車両の寸法・重量や、実際に通行する道路を確認したうえで判断する必要があります。
この記事では、クレーン車の特車申請について、行政書士の立場から基本的な考え方と申請手続きの流れを解説します。
クレーン車とは?
ここでいうクレーン車とは、主に自走して公道を走行できる移動式クレーンを指します。
代表的なものとして、次のような車両があります。
・ラフテレーンクレーン(ラフター)
・オールテレーンクレーン
・トラッククレーン(ユニック車等)
ラフテレーンクレーンは、建設現場や狭い道路でも使用されることが多い自走式のクレーンです。一方、トラッククレーンはトラックシャシーにクレーン装置を架装したタイプの車両です。
これらは、国土交通省の特殊車両通行許可制度においても、トラッククレーン等の自走式建設機械は「構造が特殊な車両」の例として扱われています。
ユニック車は別の扱い
注意したいのが、いわゆる「ユニック車」です。
ユニック車もクレーンを搭載していますが、基本的には貨物を運搬するトラックにクレーンを架装した車両です。そのため、特車申請における車種区分も、自走式クレーンとは異なります。
特殊車両通行許可の申請では、ラフターなどの自走式クレーンは「建設機械」として扱われます。一方、一般的なユニック車は「トラック」として扱われます。
この違いは、特車申請を行う際に重要になりますので、まずは車検証や車両の構造を確認することが大切です。国土交通省の申請マニュアルでも、「建設機械」は自走式建設機械を意味する車種区分として整理されています。
なぜクレーン車は特車申請が必要になることが多いのか?
特殊車両通行許可が必要かどうかを判断するうえで重要なのが、「一般的制限値」です。
道路法では、道路の構造を保全し、交通の危険を防止するため、道路を通行する車両の大きさや重量について上限が定められています。
一般的制限値は、原則として次のとおりです。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 長さ | 12.0m |
| 高さ | 3.8m |
| 総重量 | 20.0t |
| 軸重 | 10.0t |
| 輪荷重 | 5.0t |
| 最小回転半径 | 12.0m |
なお、重さ指定道路では、道路や車両の条件に応じて総重量の上限が最大25tとなる場合があり、高さ指定道路では高さ4.1mまで認められる場合があります。
クレーン車は、一般的なトラックとは異なり、車体そのものにクレーン装置やブームなどを備えています。そのため、車両によっては総重量、幅、軸重、高さなどのいずれかが一般的制限値を超えます。
したがって、クレーン車は特車申請が必要となるケースが非常に多いというのが実務上の特徴です。
ただし、「クレーン車だから自動的に特車許可が必要」というわけではありません。
実際には、車両ごとの諸元を確認し、一般的制限値を超えているかを判断する必要があります。
クレーン車の特車申請はどのように行う?
クレーン車の特車申請では、大きく分けると次のような作業を行います。
1.車両の諸元を確認する
まず必要なのが車両情報です。
車検証だけでなく、メーカーが発行する諸元表、仕様書、三面図などを確認し、車両の全長・全幅・全高・総重量・軸重・軸距などを把握します。
特にクレーン車の場合、重量だけを見て判断するのではなく、軸重や車両寸法についても確認することが重要です。
2.特車申請の車両区分を設定する
ラフターなどの自走式クレーンは、特車申請上「建設機械」の車種区分で申請します。
ここを一般的なトラックと混同しないよう注意が必要です。
3.通行経路を設定する
次に、クレーン車が実際に走行する経路を設定します。
例えば、
車庫 → 建設現場
という経路を設定し、そのルート上に車両の通行に問題となる橋梁、幅員、高さ制限、重量制限などがないかを確認します。
特車申請では「車両が特殊だから許可される」というだけではなく、その車両がその道路を実際に通行できるかという点も審査されます。
そのため、現場まで最短距離で行ける道路が必ずしも許可されるとは限りません。場合によっては、重量制限などを避けるために別ルートを選択する必要があります。
4.申請・審査
必要な車両情報と通行経路を整理したうえで、道路管理者に対して特殊車両通行許可申請を行います。
現在は国土交通省のオンライン申請システムを利用して申請することもできます。
審査の結果、通行が認められれば特殊車両通行許可証が交付されます。
なお、道路の状況によっては個別審査となる場合もあり、許可までに時間を要することがあります。特に現場の所在地や経路によっては、早めに申請を準備しておくことが重要です。
特車許可を取得しても、クレーン作業ができるとは限りません
クレーン車を現場まで運転していくための「特殊車両通行許可」と、道路上でクレーン作業を行うための許可は別物です。
例えば、現場前の道路にクレーン車を停車させ、アウトリガーを張り出して作業を行う場合など、道路本来の用途とは異なる形で道路を使用する場合には、道路使用許可が必要になることがあります。
道路使用許可は道路交通法に基づく制度で、道路において工事や作業を行う場合などが対象です。申請先は、原則として所轄警察署です。
つまり、
特車許可=クレーン車が道路を通行するための許可
道路使用許可=道路上で工事・作業等を行うための許可
という違いがあります。
そのため、クレーンを現場へ回送する計画を立てる際には、特車許可だけを確認して終わりにするのではなく、現場で道路を使用して作業する必要があるかどうかも確認しておく必要があります。
クレーン車の特車申請は行政書士への依頼がおすすめ
クレーン車の特車申請では、単純に車検証の数字を入力するだけではありません。
車両諸元の確認、車種区分の判断、通行経路の選定、道路条件の確認、必要書類の準備、申請後の補正対応など、さまざまな作業が必要になります。
また、クレーン車は現場ごとに通行先が変わることも多く、その都度、適切な経路を検討しなければならないケースがあります。
建設会社やクレーン業者の方にとって、これらの申請作業をすべて自社で行うのは決して簡単ではありません。
「このクレーンは特車許可が必要なのか分からない」
「現場までどのルートを通せばいいのか分からない」
「申請のために複雑な書類を作成している時間がない」
このような場合は、特殊車両通行許可を専門的に扱う行政書士へ依頼することをおすすめします。
行政書士に依頼すれば、車両情報の確認から経路の選定、申請書類の作成、申請後の対応まで、特車申請に必要となる一連の手続きを任せることができます。
クレーン車を現場まで確実に回送するためにも、「許可が必要かどうか分からない段階」で早めに相談することが、結果的にスムーズな現場運営につながります。
